再び南へ・その4 [旅の記録]
翌朝目覚めてみると空はすっかり晴れていました。さすが晴天率の高さが売りなだけあります。
今回の宿泊先はホテルではなく、ロッジ。不慣れなためチェックインの仕方が分からず、おかげで前夜はフロントを探し求めて嵐の中を歩き回るハメに。近くの建物のベルを鳴らして中国人家族に聞いても要領を得ず。結局、看板に書かれた番号に電話して聞いてみたら管理人の建物はあるけど夜は誰もいないとのことで、「ドアは空いているから自由に使って」との答えが。空いてたの?恥ずかしい~。
値段は忘れましたが、NZは豪州並みかそれ以上に物価が高いです。個人的には海外や星にこだわらないのであれば北海道に行った方がよっぽどマシだと思います。もちろん行ってみて気づくこと、勉強になることも多々あります。
ここでは子ヤギが飼われていました。あれっ、これって羊だっけ?
北島は分かりませんが、南島には本当に人間以上の羊がいます。TPP交渉であまりゴネないでおくれよ。
近くにはアルパカさんもいました。新たな観光名所として牧場でも作るつもりなのでしょうか。
前述したように、テカポ湖といえば、星空だけでなく、美しい色でも有名。氷河が削った岩石の粉が溶け込み、独自の青緑色をしています。
湖畔には約300人が住んでいて、小さいながらも商店やガソリンスタンドが軒を連ねているほか、日本人が運営するレストランもあり、サーモン丼がうまいと評判です。
これがテカポ湖。背後の山々を含め、聞きしにまさる美しさ!
湖水はちょうどセルリアンブルーの絵の具を水で溶いたような色。視界に入った瞬間、眼の疲れがとれた気がしました。
近づいてみても無色透明なのに何とも不思議です。景色だけでは物足りなく感じるタイプの旅好きだけど、それなりに来てよかった。
それにしても。
体がやけに重い。そして息苦しい。風邪でもひいたかな。とりあえず時間はたっぷりあるので、スーパーで食糧を買い込んだ後、星空ウォッチングに備えて仮眠することに。
日ごろの行いが良いせいか、マゼラン雲ははっきりと見えました。やはりゴールドコーストは緯度が低いうえ、空が明るすぎたようです。
大マゼラン雲は南十字星とほぼ同じ大きさ。雲の固まりがとどまっているように見えます。小マゼラン雲も半分ぐらいの大きさで余裕で見えました。北天には肉眼でこんなに大きく見られる銀河はないのでかなり感動。ほかにもオリオン座が日本と逆さまに見えたりして、すごく不思議な感じでした。
残念だったのは、ここでも降るような星空とはいかなかったこと。雲がやや多めだったとはいえ、空気は澄んでいたし、光害の影響も少なかったのですが、ケンタウルス座のオメガ星団(3・7等級ぐらい)すら視認できませんでした。世界一の星空をアピールしている割には物足りないなあ。しかもこの日の気温は4、5度。装備不足もあり、長時間眺め続けるのは困難でした。
一向に目的を遂げられない自分が言うのは何ですが、海外で限られた期間内に満天の星空を見たければ以下の点に注意する必要があります。
第一にできるだけ空気が澄み、晴れやすい場所を選びましょう。これは基本ですね。ハワイのマウナケアのように有名な天文台がある場所ならまず間違いないとみていいかと。
次に月。満月だとどんなにがんばっても見える星は限られてきます。新月か、早い時間帯に沈む日を選びましょう。これは意外に忘れがちなので要注意。
さらに都市からある程度離れていて、光害の影響が少ないことも重要です。この点、全体がネオンに包まれている日本はほぼ壊滅状態になってしまいます。
あとは星を見るのに快適だったり、移動しやすい環境にあることも大事です。サハラ砂漠のど真ん中ならこれでもかというくらい星が見えるはずですが、水や食糧が入手できず、プロならともかく、素人にとって現実的とはいえません。この点、テカポ湖は以上の条件をほぼ満たしています。近くにはマウント・ジョン天文台があり、星空見学ツアーも催行されています。
ただ、当方が訪れた11月は天候面で不向きなようです。この時期からは、天の川が最もはっきり見える射手座や蠍座が地平線の下に隠れ、見えなくなってしまいます。かといって、夏場は空気が澄んでいる一方、かなり寒いので、訪れる場合は十分検討された方がいいでしょう。南天の星空にこだわらないなら、前に触れた夏のヨセミテ国立公園の方がいいかも知れません。まだチリやカナダに行っていないのではっきりしたことはいえませんけど。
近年のテカポ湖は観光客が増えたため、光害が問題になっているようです。クイーンズタウン郊外の空とたいして暗さは変わらないので、ここにこだわりすぎる必要はない気がします。場合によってはテカポは1日だけの滞在にして、残りをより賑やかなクイーンズタウンにあて、郊外に車で出かける方がいいかも。
とりあえずマゼラン雲を見られたことには大満足。まだ2日あるので、この日はこれで終わりにして、翌日以降に期待。
で、翌朝。
か、体が動かん…
金縛りにあったように、体がベッドに張り付いたまま。意識ははっきりしているものの、熱もあり、体中から汗が吹き出してきて止まりません。解熱薬を買って飲み、いったんは下がったものの、すぐに逆戻り。
それにジュースを飲んでもまったく味がしない。
あ~、こりゃ風邪じゃね~な~
結局、2日間ベッドで寝続けても回復せず、そのまま出発の日を迎えることに。残り2日は天候が悪く、どちらにせよ星はあきらめざるを得なかったけど、サーモン丼は食いたかった。マウントクックも見に行けなかったし。
テカポからは車でクライストチャーチに向かい、そこから北島のオークランドに飛び、さらに成田へ向かう予定。無理だと思いつつも、とどまるわけにはいかないので出発します。
クライストチャーチまでは普通なら3時間半の道のりです。しかしこの体では休み休み行かざるを得ず、結局10時間ぐらいかかってしまいました。成田行きの機内で少し寝られたものの、あまりの苦痛で半分過ぎたあたりで起きてしまい、体調も悪化したまま。グアム以降が異常に長かった…
成田では、エボラ騒ぎの渦中にもかかわらず職員は誰も声をかけてくれず、パスポートを機内に忘れる始末。文字通り命からがら家までたどり着いたのでありました…
で、即入院。診断結果は肺炎でした…。日本で免疫機能が落ちていたからか、上海国際空港で夜を明かしたためか、テカポで雨に濡れたせいなのか、原因は分からず…ロッジの暖房が昔ながらの暖炉で、部屋全体が暖かくなりにくかったのも原因かもしれません。いや、日ごろの行いが悪かったんだろうな(笑
入院直後に体温を測ってみると、何と40度。おそらくNZにいたころはもっと高かったはず。よくぞ戻ってこられた、というかくたばらなかったなあ。
結局、それから2週間ほど入院することに。多額の入院費を支払い、自腹で飛ぶよりもはるかに高くつく結果になったとさ。とほほ…
旅に失敗やトラブルは付きものだし、以前も旅先で病気になったことはあったとはいえ、さすがに今回はひどすぎました。周囲に多大な迷惑をかけたので、今年は海外旅行を自粛するつもり、だけど、この懲りない男はきっとまた無謀な旅をするんだろうな。。。
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