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チラリズムの魅力 [その他]

 あけましておめでとうございます。今年も気力と体力の続く限り、マメな更新を心がけますので、よろしくお願いいたします。また、これからも長文が多いかと思いますが、何卒ご容赦ください。(長文の場合はブラウザの文字を「大」にしてください!)
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 今回のお題は「チラリズム」。「まだ3回目なのに、いきなりエロネタかよ」と思われるかもしれないが、そうではない。

 このチラリズムという言葉、もともと剣劇芝居で知られる女優の浅香光代さんが「生みの親」という事実をご存知だろうか。立ち回りの際に露になる太ももがエロティックだったことから、ある新聞記者が例えたのだ。言葉はすぐに広がり、1951年の流行語になった。肌を露出することがタブー視されていた当時の風潮を的確に反映していたことも、言葉を広めたのだろう。

 だが、「見えそうで見えない」ことに対して人が魅力を感じるのは、何も性に限らない(むしろ性のチラリズムは廃れる一方だ)。世の中には、いろんなチラリズムを追いかけている人々が存在する。

 その中に、「富士山ハンター」がいる。富士山ハンターとは、「できるだけ遠くから、あるいは難しい場所から富士山を見ることに血道を上げている人」、とでもいえばいいだろうか。

 富士山は、標高3776メートルで、周囲に高い山がない独立峰。このため、北は福島県から西は和歌山県まで、広範囲で視界にとらえられる。しかし、当然ながら、遠方であるほど雲や水蒸気に遮られてしまい、見られる確率は低い。富士山ハンターは、より遠くから富士山をとらえ、写真に収めることに、普通の人では考えられないほどの情熱を傾けている。遠方から見るとなると、おのずと高い山の上になってしまう。条件の良いのは、空気の澄んだ冬の早朝か、台風一過の晴れた日ぐらいしかなく、かなりの体力と根気が要る。撮影技術も必要だ。

 詳細はこのサイト(http://folomy.jp/fyamap/)を見ていただけるとありがたいが、主だったスポットには、和歌山県の妙法山(標高749メートル、富士山からの距離322・6キロ)、東京都の八丈島(東山、同701メートル、271キロ)などがある。

 最遠方は、妙法山の北西5キロにある小麦峠(900メートル)で、距離は322・9キロ。2001年に、2人のハンターの方が撮影した。海面から立ち上る水蒸気が視界を遮る八丈島からは、06年12月になって、ようやく撮影に成功している。島で最も遠い場所からの写真ではないが、同月大みそかの「読売新聞」都民版に掲載された。

 遠くから富士山を見るといっても、ひと昔前まではどこが最遠かすら、分かっていなかった。それが可能になったのは、DAN杉本さんが開発したソフト「カシミール」によるところが大きい。このソフトのおかげで、富士の見える範囲を地図上に示す「富士山可視マップ」ができ、どこから富士山が見えるか容易に把握できるようになった。

 ちなみに、カシミールには、ほかにもいろいろな楽しみ方がある。詳細はDAN杉本さんのサイト(http://www.kashmir3d.com/)を見てほしい。このサイト(http://www.geocities.jp/borg1701/kash.htm)もオススメだ。

 ともかく、主だった場所からの写真はだいぶそろいつつある。一方、分かっていないことがまだまだ多いみたい。というのも、地平線付近では大気のレンズ効果が働き、地平線下に隠れた山やビルでも見えることがあるからだ。

 それに、見えると判断されている場所でも、写真がない場所が少なくない。計算上の北限にあたる福島県の花塚山(標高918メートル、308キロ)は、その1つだ。

 特に管理人が知りたいのは、「富士山は京都から見えるのか?」。前出のサイトによると、京都府内にある「三国岳」の南西(913メートル、269キロ)から見えるようだ。地図で調べると、京都市北部に「三国岳」が2カ所あり、そのうち南東の「さんごくだけ」と呼ばれている方が、この山と思われる。

 自分はこの山を見たことも、登ったこともない。ここから近い大原あたりの景色から想像すると、京都市内といっても、かなり奥まった場所のようだ。参考までに、京都市役所に勤める友人に聞いてみると、京都から富士山が見えることは知らないという。かなり博識な彼がそう言うのだから、京都府民のほとんどは知らないのだろう。  

 理論上は見えても、実際は雲などでとても見えそうにない。でも古都から富士が見えるなんて、何とも夢のある話ではないか。京都在住の方は、ぜひトライしていただきたい。

 チラリズムといえば、もう1つ思いつくことがある。先日、所用で宮崎の田舎に帰省した際、長年の夢をかなえたいと思い、友人に無理を言って、県南端の都井岬へ連れて行ってもらった。

 都井岬は野生馬が生息していることで有名なのだが、目的は馬ではなく、星。全天の恒星のうち、太陽とおおいぬ座のシリウスに次いで明るい、りゅうこつ座のカノープスを見たかったのだ。

 カノープスは南緯51度40分にあり、日本からは低すぎてかなり見ずらい。北緯36度の東京では、南中時でも2度程度の高さ。北緯31度50分程度の宮崎市ですら、6度と少ししか昇らない。そこで、宮崎市内の実家からは南方面の空が明るく、見えないと判断。都井岬ならばと、友人に車を出してもらった。

 結果はというと、残念ながら見られなかった。それこそ降るような星空で、遠く種子島の光(と思われる)が見えるなど、条件は抜群だった。が、12月初めで、南中時間は午前1時。強烈に冷たい風が吹いていたこともあり、待ちきれなかったのだ。カノープスは、長寿星ともいわれる。友人と「長生きできたのに残念だったね」などと慰めあいつつ、宮崎市へ引き上げた。夜にもかかわらず、路傍で休む野生馬を見られたのは良かった。

 70キロほどの道のりを走り、12時ごろに宮崎市へ帰り着いた。すると、家の近くの農道を走っている最中のこと。繁華街方面の南の空に、はっきりと赤い星が見えるではないか。意外と高いところに2等星くらいの明るさで輝いていた。シリウスとの位置関係から、まぎれもなくカノープスと分かった。

 よくよく考えてみれば、この星は子供のころに何度も見た星と同じだ。カノープスが宮崎から見られることは知っていたとはいえ、見えにくいイメージがあまりに強すぎ、そんなに簡単に見えるとは思っていなかったのだ。取り越し苦労、ということになるが、長生きできる?と分かって、ほっとした。

 ちなみに、理論上は福島県が北限とされるカノープスは、例のレンズ効果も加わって、山形県の月山からも観測実績がある。はたしてこれが北限なのか。京都からの富士山観測とともに、トライしていただける方を待ちたい


タグ:富士山 京都
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